頭痛は日ごろからよくみられる症状ですが、その原因はさまざまです。自然とそのうち治まるものもあれば、強い痛みの頭痛のなかには命にかかわる重大な病気が隠れている可能性もあります。今回は頭痛のメカニズムや原因についてお話させていただきます。
◇頭痛の種類について
・一次性と二次性
頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛・・・普段感じる頭痛の多くは一次性頭痛です。いわゆる「頭痛持ち」の頭痛です。他に原因となる病気がないものを指します。
二次性頭痛・・・なにか病気が原因となって引き起こされる頭痛です。緊急性が高く、命にかかわる場合もあるため、次のような症状が当てはまる場合は注意が必要です。次の項目でも詳しく解説します。
・突然痛みが出て、だんだん痛みが増していく
・今まで感じたことのないような痛み
・頭痛の頻度と程度が増していく
・頭痛に伴い嘔吐やめまいなどの症状がある
・頭痛に伴い手足の麻痺、目が見えにくいなどの症状がある
・頭痛に伴い発熱、発疹などの症状がある
◇二次性頭痛の種類
・くも膜下出血
脳動脈瘤の破裂によって起こる出血です。雷鳴頭痛と言われる激しい頭痛が特徴で、めまいや吐き気、意識障害などの自覚症状がみられる場合もあります。患者の20%ほどに前兆症状がみられ、急な頭痛(それほど強い痛みではない場合もある)、物が二重に見える、めまいなどを感じることもあります。発症すると死亡率が50%と高く、非常に怖い病気です。そのため速やかな受診・治療が必要です。
・脳出血
脳の血管が破れ、脳内で出血してしまうことを脳出血と言います。症状は出血した部位や出血量により異なりますが、頭痛・吐き気・めまい・意識障害・半身の麻痺などがあげられます。血管が破れる主な原因は高血圧です。脳の血管が強い圧で圧迫され、裂け目ができて破れてしまいます。また、高血圧に伴う動脈硬化も原因の1つにあげられます。動脈硬化が起こると血管がもろくなり出血しやすくなります。
・髄膜炎
髄膜とは、脳と頭蓋骨の間に存在する、脳を保護している膜のことです。髄膜は3枚の膜(軟膜、くも膜、硬膜)から出来ています。軟膜とくも膜の間にはくも膜下腔というスペースがあり、脳脊髄液という無色透明な液体が存在しています。この髄膜に細菌やウイルスが感染し、炎症が起こる病気が髄膜炎です。ウイルス性髄膜炎の場合はだいたい1週間くらいで回復し後遺症もほとんどみられません。しかし、細菌性髄膜炎の場合は死亡率が数%、後遺症も20%ほどみられます。後遺症には言語障害、耳が聞こえにくいなどといった症状があります。症状の特徴は頭痛、発熱、嘔吐です。はじめの症状が風邪と似ているため区別がつきにくく、症状が進んでけいれん、意識の低下などがみられて診断がつくことも多いようです。予防法としては、細菌性髄膜炎の多くがヒブと肺炎球菌が原因で起こるので、それらのワクチン接種で予防することができます。
この他の二次性頭痛には、脳腫瘍や動脈乖離、副鼻腔炎、緑内障などもあります。二次性頭痛は原因を解決すれば治まる頭痛なので、原因を解明することが重要です。いつもの頭痛と違う、突然の激しい頭痛など普段と違う症状があればお早めに受診しましょう。
◇一次性頭痛の種類
・片頭痛
片頭痛は、頭の片側(あるいは両側)が脈打つようにズキズキと痛みます。頭痛に伴い、吐き気・嘔吐の症状や、音や光に敏感になるなどの症状がみられることもあります。頭痛は4~72時間ほど続いて、自然に回復します。発作中に体を動かしたり、入浴することによって頭痛が悪化する特徴があります。片頭痛が起こる前に、目がチカチカする、吐き気などの前兆が現れる場合もあります。20~40代の女性に多くみられる頭痛で、月経やその前後で症状がみられる場合もあります。片頭痛を引き起こす要素には、ストレスやストレスからの解放、肩こり、寝不足あるいは寝過ぎ、天候や気圧の変化、アルコール、カフェインなどがあります。
片頭痛は薬による治療が可能です。片頭痛の症状が起こったときに痛みを和らげる急性期治療と、片頭痛発作が起こるのを減らす予防治療があります。つらい頭痛に悩まれている場合は医療機関を受診することをおすすめします。
日常で予防する方法としては、規則正しい生活を心がけ、寝不足・寝過ぎに気を付けることです。片頭痛が起こる人は、そうでない人と比べてコーヒー、お茶、脂肪が多い食事を摂る傾向があると言われているので、食生活の見直しをしてみるのも良いでしょう。
※薬物乱用頭痛
先ほど少しお話しましたが、鎮痛薬の使用過多により引き起こされる頭痛を薬物乱用頭痛と呼びます。診断基準は、以前から頭痛があり、月に15日以上頭痛があること/市販薬、処方薬限らず3か月を超えて定期的に乱用していること(薬の種類によって服用回数は異なります)です。薬物乱用頭痛は、痛みに対する不安から薬を早めに飲んだり、それほど痛みがないのに飲んだりすることにより薬の効果が薄まり、さらに頭痛がひどくなり薬を飲むという悪循環に陥ります。薬物乱用頭痛の治療法は原因となっている薬を中止することです。薬を飲む回数が増えたり、薬が効かなくなったと感じたら早めに医療機関で相談することをおすすめします。
・緊張型頭痛
緊張型頭痛は、一次性頭痛の中でもっとも多い頭痛と言われています。後頭部を中心に圧迫感、あるいは締め付けられるような頭痛が起きます。片頭痛のように吐き気や嘔吐はありません。痛みの程度は軽度~中程度で、頭痛により寝込んでしまうようなことは少ないです。原因としては、首や肩周りの筋肉の緊張により血行が悪くなるためと考えられています。また、精神的ストレスや天気などが引き金になって頭痛が現れることもあるようです。
予防には、血行を良くしてリラックスすることが大切です。湯船にゆっくり浸かる、長時間同じ姿勢をとる時は適度にストレッチを行うなど意識してみましょう。
・群発頭痛
群発頭痛は一次性頭痛の中でもっとも痛い頭痛と言われています。片側の目の周囲からこめかみにかけて激しい頭痛が起こり、痛む側の目の充血、流涙、瞼の腫れ、鼻水や鼻づまりなどの症状を伴います。睡眠中に起こることが多く、痛みによって目が覚めることが多いようです。年1~2回ほど起こり、一度起こると1~2か月の間毎日頭痛が起こります。このようにある期間に集中して頭痛が起こるので群発頭痛と言われています。
群発頭痛は痛みが非常に強いので鎮痛薬では対処が難しいとされています。まず医療機関を受診することをおすすめします。頭痛を引き起こす要因には、飲酒や気圧の変化などがあります。群発期には飲酒は控えましょう。また、登山やダイビングなど気圧の変化を伴う行為は避けるのが良いでしょう。
まとめ
◇おわりに
今回は頭痛の種類についてお話させていただきました。食事や睡眠習慣など、ある程度日常で対策できるものもあるので、こころ当たりのある方は生活習慣の見直しをしてみると良いかもしれません。ただ、脳出血など命にかかわる頭痛もあるので、今まで感じたことのない激しい頭痛や、いつもと違う症状が現れた場合はすぐ受診しましょう。また、慢性的な頭痛でも、片頭痛だと思っていたが実際は緊張性頭痛だったという場合も多いようなので、長引く頭痛に悩まされている場合は一度医療機関で相談されると良いでしょう。鎮痛薬を飲む頻度が増えてくるような場合も要注意です。
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