肩の痛みのお話~原因・種類や対処法~

肩痛という症状は日ごろから感じる人も多いでしょう。今回はそんな肩痛の原因や、対策についてお話させていただきます。

◇骨や関節、筋肉が原因となる肩の痛み

・頚肩腕症候群

頸肩腕症候群は、首や肩、腕にかけて生じる痛みや痺れが生じ、原因がはっきりわからないものを言います。首が回らない、首や肩が凝る、腕が重だるい、痺れなどの症状がみられます。主に首から腕にかけて症状が現れますが、それ以外にも頭痛、めまい、耳鳴りなどの症状も引き起こす可能性もあります。
頚肩腕症候群の原因をはっきりさせることは難しいですが、以下のような要因が考えられます。
・過労
長時間のデスクワークや読書などにより首、肩、腕に負担がかかってしまいます。また、スマートフォンの長時間使用も負担をかける原因となります。
・姿勢の悪さ
姿勢が悪い状態が長時間続くことで首や肩に負担がかかってしまいます。猫背、頭部が前方に位置しているヘッドフォワードといった姿勢は改善していく必要があるでしょう。
・寝具が体にあっていない
枕が高すぎても低すぎても、知らず知らずのうちに寝ている間に首や肩に負担がかかってしまいます。
・精神的ストレス
悩みを抱えているなど、精神的ストレスがあると首や肩凝りのような症状が現れる場合があります。また、気分の落ち込みにより背中が丸くなり、姿勢が猫背になってしまう傾向があります。
それでは頚肩腕症候群はどういった予防法があるでしょうか。
・姿勢の改善
頚肩腕症候群は長時間のデスクワークなどで起こりやすいですが、特に姿勢が悪い状態が続いてしまうと症状が現れやすくなってしまいます。座っているときの正しい姿勢は、耳・肩甲骨の出っ張っている部分(肩峰)・太ももの骨の出っ張っている部分が縦一直線に並んでいる状態です。この直線からずれてしまうと首や肩、腕への負担が増えてしまいます。
・作業環境の改善
先ほど姿勢についてお話しましたが、良い姿勢をずっと維持するのは大変なこともあるかと思います。そういったときは机や椅子など周りの環境を変えることで、自然と良い姿勢を保ちやすくすることができます。
 ・膝や股関節は90度くらい
 ・肘も90度
 ・骨盤が前後に倒れ過ぎない
 ・パソコンの画面は目の高さ
上記のようなポイントをふまえて椅子や机の高さなどを考えてみると良いでしょう。
・枕の調整
高さの合わない枕を使うことで、首や肩への負担がどんどんたまってしまいます。枕の理想的な高さは、仰向けの場合あごの下にシワができずつっぱらない状態です。横向きの場合は首と背骨が床と平行になる状態が理想的な高さです。バスタオルなどで高さを調節して色々な高さを試してみると良いでしょう。また、敷布団やマットレスの柔らかさによっても枕の高さが違ってくるのでご注意ください。


・肩こり

首から肩、あるいは背中にかけて凝りや張り、痛みなどを感じます。吐き気や頭痛も伴う場合があります。肩の筋肉が緊張した状態が続くと筋肉が硬くなり、血管を圧迫してしまいます。その結果、血行が悪くなり肩に溜まった疲労物質がうまく排出できず、肩こりにつながってしまいます。原因としては、猫背や前かがみなどの良くない姿勢、長時間同じ姿勢でいること、首や背中が緊張してしまうような体勢での作業、運動不足、精神的ストレスなどが考えられます。冬場の寒さや冷房による冷えも肩こりを引き起こすとされています。気温が低くなると、人の体は熱が奪われないように血管を収縮させて血流を減少させたり、筋肉を緊張させることで震えを起こさせます。こういった体の反応から肩こりにつながってしまいます。
続いては肩こりの予防についてです。
・長時間同じ姿勢をとらない
長時間同じ姿勢をとると筋肉の緊張を引き起こし血行が悪くなってしまうため、こまめに休憩をとるようにしましょう。肩周りを動かしたり、少し歩いたりすることで疲れがたまりにくくなります。また、ショルダーバッグをいつも同じ側の肩にかけていると左右のバランスが崩れてしまうので、交互に持ったりリュックにするなどの対策が必要です。左右のバランスが崩れると、体を水平に保とうと肩の筋肉を過剰に使われてしまい、筋肉が硬くなりやすくなります。
・適度に体を動かす
適度な運動は血流を改善し、肩こりの予防や改善につながります。首や肩だけでなく、全身の筋肉を使いましょう。ウォーキングやストレッチ、ラジオ体操など手軽にできるものから始めましょう。継続することで肩周りの筋肉がつき、血流を促進することができます。
・肩を冷やさない
冷やさない、またはこまめに温めることで疲労がたまるのを防ぎ、血流悪化を予防できます。温める方法ですが、カイロや蒸しタオルを肩に当てる、入浴により肩だけでなく全身を温めるなどがあります。ただ、カイロなどを使用する際は低温やけどにご注意ください。
・ストレス解消
過度なストレスは自律神経のバランスが崩れて肩こりを引き起こすことがあります。気分転換やリラックスすることを意識しましょう。適度な運動は筋肉をつけるだけでなく、ストレス解消にも効果が期待できます。また、睡眠不足の状態はストレスに弱くなるとの話もあります。睡眠をしっかりとり、体も心も休めることが大事です。

・肩関節周囲炎(五十肩)

肩関節の周囲に炎症が起こり、肩の痛みが現れます。一般的に四十肩・五十肩とも呼ばれています。突然痛みが現れることが多く、肩の痛みの他に動かしにくさ、腕が痛みで上げられないなどの症状があります。長年肩や腕を動かしていると肩関節の筋肉や腱が疲弊してもろくなります。それにより筋肉が慢性的に緊張し続け、血流が悪くなることで炎症が起こって痛みにつながります。ほとんどの場合、左右どちらか一方に症状が現れます。
予防についてですが、前項でもお話したように正しい姿勢を心がける、体を冷やさない、直接的な肩への負担を減らすなどがあげられます。
注意事項として、五十肩の症状があるうちに良かれと思って肩を動かしすぎてしまうと炎症が悪化してしまう恐れがあります。痛みがあるうちは安静にし、無理に肩を動かさないようにしましょう。また、肩だけでなく二の腕まで痛みを感じる場合は、腱板断裂という状態になっている可能性があります。重症の場合は手術が必要となることもあるので、二の腕まで強い痛みがある場合は早めに医療機関で相談されることをおすすめします。

◇骨や関節以外が原因となる肩の痛み

・狭心症、心筋梗塞

肩関節以外の原因として、内臓の不調からくる放散痛の可能性もあります。放散痛というのは、原因となる病気が他にあって、それにより引き起こされる痛みのことを言います。
心臓に栄養や酸素を送るための冠動脈という血管が狭くなったり、詰まったりしてしまう狭心症や心筋梗塞という病気でも肩の痛みを引き起こします場合があります。ほとんどの場合は胸痛や冷や汗などを伴いますが、高齢者では自覚症状が薄い場合もあるので注意する必要があります。


・高血圧

自覚症状がないことも多い高血圧ですが、頭痛やのぼせ、肩の痛み、肩こりなどの症状が現れる可能性があると言われています。


まとめ

◇おわりに
ストレッチや姿勢の改善など、生活習慣の見直しをしてみても痛みが続いていたり、強い痛みが出ている場合は無理に我慢せず医療機関へご相談ください。場合によっては早期治療が必要となることもあります。また、治療後改善してからの再発防止も大切です。今回ご紹介した内容もぜひ参考にしていただき、生活習慣の見直しをしてみましょう。

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