骨粗鬆症について 原因や治療は?

骨粗鬆症とは、骨の密度が低下して骨折しやすくなる病気のことです。日本では患者数は1000万人以上と言われており、高齢化に伴いさらに増加傾向にあります。今回はそんな骨粗鬆症の原因などについてお話させていただきます。

骨粗鬆症・原因・治療◇骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症・原因・治療・骨粗鬆症の症状とは

骨粗鬆症になったからといって体のどこかが痛くなるというわけではありません。しかし、骨がもろくなるため、つまずいて手をついた拍子に…などちょっとした刺激で骨折しやすくなってしまいます。骨折しやすい部位は、脊椎の圧迫骨折、手首、太ももの付け根などです。これらの骨折により、日常生活が困難になるだけでなく、それがきっかけで寝たきりになってしまう場合もあります。また、寝たきりにならなくとも、骨折により体の動きが悪くなってしまい、再び骨折してしまうリスクが高くなるとも言われています。
骨粗鬆症の症状チェックとして、以前より身長が低くなった、腰が曲がってきた、背中や腰に痛みがあるなどが当てはまれば、骨粗鬆症の可能性があります。心あたりがあれば、一度医療機関で検査してみるのも良いと思います。


骨粗鬆症・原因・治療・生活習慣も骨粗鬆症の原因になり得るかも

骨は私たちが知らない間に新陳代謝を繰り返しています。古くなった骨を溶かして壊す骨吸収と、新たに骨を作る骨形成です。骨粗鬆症ではこのバランスが崩れることで骨がもろくなってしまいます。
主な原因の1つとして加齢があります。若い時は骨を溶かすより作る速度の方が速く、骨量は20~30代でピークとなります。しかし、加齢とともに骨を作る速度は遅くなり、反対に骨を溶かす速度は速くなります。そのため骨量や密度が低くなり骨がもろくなってしまいます。
また、性別による影響もあります。女性のほうが男性に比べて骨粗鬆症の発症リスクが高いです。これは閉経後のホルモンバランスの変化が影響しています。閉経後は、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少します。エストロゲンは骨吸収をゆるやかにする作用があるので、エストロゲンの分泌が低下することにより骨吸収が促進され、骨密度低下につながります。
あとは生活習慣も影響しています。ダイエットなどによる栄養不足は骨粗鬆症の原因となります。カルシウムやビタミンDは骨によって大切な栄養素です。とくに成長期は骨を作り、カルシウムを貯蓄する重要な時期です。この時期に無理なダイエットなどで栄養不足になると、将来の骨密度低下に影響を及ぼす可能性があります。また、運動不足も注意が必要です。適度な運動は骨密度の維持にとても重要です。骨は負荷がかかることによって活発に骨を作るようになります。そのため、家にこもりがちになるなど、体を動かす機会が少ないと骨密度が低下しやすくなってしまうでしょう。
その他の原因として、疾患や薬が影響して発症してしまう骨粗鬆症もあります。代表的な疾患に甲状腺機能亢進症や関節リウマチ、慢性腎臓病などがあります。このような疾患が骨代謝に影響を及ぼすこともあれば、消化器系の疾患だと骨形成に必要な栄養素の吸収が妨げられることで骨密度低下につながってしまうでしょう。薬によるものだとステロイド薬があります。長期間にわたるステロイド薬の服用により、骨のカルシウム吸収が低下することで骨形成が抑制されてしまいます。

骨粗鬆症・原因・治療・どんな治療がある?

骨粗鬆症の治療は薬物療法が中心となりますが、同時に食事・運動療法も取り入れ骨密度低下を防ぐことが大切です。
骨粗鬆症治療薬には大きく3つのタイプがあります。
① 骨吸収を抑制する:ビスホスホネート製剤、カルシトニン製剤、SEAM(選択的エストロゲン受容体調整薬)など
② 骨形成を促進する:活性型ビタミンD₃製剤、ビタミンK₂製剤など
③ カルシウム製剤
いずれの薬でも継続して服用することが大切です。骨粗鬆症は痛みなど自覚症状がないので、自己判断で薬を中止してしまうことも多いようです。ぜひ根気強く継続しましょう。もし薬が服用しにくいなど困りごとがあれば医師や薬剤師にご相談ください。

骨粗鬆症・原因・治療骨粗鬆症は予防できる?食事療法と運動の視点より

骨粗鬆症・原因・治療・どんな食事が良いか

骨粗鬆症を予防するためには、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨を作ることに関わる栄養素を積極的に摂取することが大切です。それぞれ何の食品から摂取できるのか以下に記載するので参考にしてみてください。
カルシウム:カルシウムは骨の材料となります。(牛乳やチーズなどの乳製品、小魚、大豆製品、小松菜など)
ビタミンD:ビタミンDはカルシウムと一緒に摂ることで、お腹でのカルシウムの吸収を促進します。ビタミンDは脂溶性ビタミンに分類され、油で溶けやすい性質があります。そのため油と一緒に摂取することで吸収が良くなります。(きのこ類、牛レバー、サケやサンマなど脂質の多い魚、卵など)
ビタミンK:ビタミンKは、カルシウムが骨に沈着するのを助けるオステオカルシンというたんぱく質を活性化することで、骨の形成に役立ちます。ビタミンDと同じく脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収が良くなります。しかし、ビタミンKは血を止める作用もあるため、ワーファリンという血液をサラサラにする薬を服用している人はビタミンKを多く含む食品を控える必要があります。(納豆、ブロッコリー、小松菜、キャベツなど)
この他に、たんぱく質の摂取も重要です。とくに高齢になると小食になったりすることで、たんぱく質の摂取量が低下しやすくなります。バランスの良い食生活を心がけましょう。
逆に控えた方が良い食品には、リンが含まれるインスタント食品やスナック菓子、アルコール、カフェインなどがあります。これらはカルシウムの吸収を阻害する作用があるため摂り過ぎには注意が必要です。


骨粗鬆症・原因・治療・骨を強くする運動

骨は負荷がかかることで強くなる性質があります。とくに骨の長軸方向に刺激が加わる運動をすることで、骨が強くなりやすいと言われています。具体的な運動方法として、ウォーキングやジョギングがあります。さらに、軽めのダンベルを持って負荷をかけながらこれらを行うことでより効果的であると言われています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内での生成が促進されます。そのため日中にウォーキングなどを行うことは、運動だけでなくビタミンD生成も促すことができるので非常にオススメです。ただ、直射日光に長時間当たってしまうと皮膚にダメージを受けてしまうので、適度に行うことが大切です。夏であれば木陰で30分ほど過ごせば十分と言われているので、ほどよく日光浴してみてください。
筋力トレーニングもオススメです。筋肉をつけることで衝撃に強くなり、バランス感覚を維持して転倒による骨折を防ぐことにつながります。高齢の方の場合は、負荷がかかりすぎるとかえって体を痛めてしまう恐れもあるので、無理のない範囲で行いましょう。転倒防止には、室内の環境を整えたり、滑りにくい靴を選ぶなど工夫も必要です。


骨粗鬆症・原因・治療まとめ

◇おわりに
今回は、骨粗鬆症の原因や治療、予防などについてお話させていただきました。自覚症状が乏しい疾患ですが、放っておくと骨折して寝たきりになってしまうリスクが高まります。ぜひ心あたりがあれば病院で検査を受けてみましょう。日常生活でも食事や運動などで予防することができるので、できるところから取り入れてみてください。

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