腰痛のお話~原因・対策は?~

腰痛はシニア世代のみではなく若者にとっても身近な症状です。国民生活基礎調査によると、日本人が抱える自覚症状で最も多いのが腰痛です。今回はそんな腰痛の種類・原因や対策についてお話させていただきます。

◇腰痛の種類は?

・特異的と非特異的

腰痛には大きく分けて2つの種類があります。
・特異的腰痛:はっきりと原因が特定でき、診断や治療方法が確立されています。腰椎圧迫骨折、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛など
・非特異的腰痛:医師の診察や検査などで原因が特定しにくい腰痛。筋筋膜性腰痛、仙腸関節性腰痛など
腰痛の大多数が非特異的腰痛であり、腰痛全体の85%を占めるとされています。
普段の姿勢など生活習慣との関連が考えられていますが、はっきりとした関節や骨の異常がみられず、痛みの原因が特定しにくい腰痛です。
ここでは多くの人が経験しやすい非特異的腰痛についてお話させていただきます。


・非特異的腰痛について

まず非特異的腰痛は筋筋膜性腰痛、仙腸関節性腰痛、椎間関節性腰痛、椎間板性腰痛の4種類があり、それぞれ痛みが生じる部位によって名前がつけられます。
・筋筋膜性腰痛
筋筋膜性腰痛は、筋肉の使い過ぎによって起こる腰痛です。
スポーツや運送業などの肉体労働で大きな負荷がかかり発症する場合もあれば、デスクワークなど同じ姿勢を続けることで慢性的に筋肉に負荷がかかり発症する場合もあります。
筋肉や筋膜への負荷が原因のため、レントゲン検査では骨や椎間板には異常は見つかりません。
腰や背中など広い範囲で鈍い痛みが生じることが多いです。
・仙腸関節性腰痛
仙腸関節炎腰痛は厳密には腰ではなく、仙腸関節という骨盤の腸骨と仙骨をつなぐ関節に生じる痛みのことです。スポーツやエクササイズによる仙腸関節の捻挫や、仙腸関節の位置が悪い状態が続くことが原因と考えられています。また、産後の女性に多い腰痛です。妊娠中に分泌されるホルモンにより緩んだ仙腸関節の靭帯が、出産後も正常に戻らないことで起こる場合が多いようです。
左右どちらかに局所的な痛みが生じる場合が多く、鼠径部や太ももの裏にまで痛みが広がることもあります。
・椎間関節性腰痛
椎間関節性腰痛は、背骨の上下をつなぐ椎間関節に生じる腰痛です。洗濯物を干すなど腰を反るような姿勢をとったときに、背骨の後ろ側にある椎間関節がぶつかってしまうことで痛みが生じます。安静時には起こりにくいです。腹筋が弱いことで反り腰になっている人に起こりやすく、女性に多く見られるようです。揉み解しても改善しません。
・椎間板性腰痛
椎間板性腰痛は、椎間と椎間の間にある椎間板の損傷や変性により起こります。正常な椎間板は神経がほとんど通っていなく、椎間板そのものが傷ついてもあまり痛みを感じません。しかしスポーツや加齢により椎間板の外側の繊維輪が損傷してしまうと、それを修復するために神経を伴った血管が繊維輪の内側へ入り込みます。すると、本来は痛みを感じない椎間板の内側にも神経が通ってしまい、椎間板への負荷で痛みを感じるようになります。そして椎間板への負荷は背中を丸めた状態で最も大きくなります。そのため前かがみになったときに椎間板が圧迫され痛みが出ます。背筋が弱い人に起こりやすく、猫背になりがちなデスクワークの人にも多いとされています。

◇どうして腰痛になる?対策は?

・腰痛が起こりやすい人の特徴

ここまで、腰痛の種類や特徴についてお話いたしましたが、腰痛が起こりやすい人には以下の共通点があるようです。
・同じ姿勢を長時間続けている
・運動不足により足腰の筋力が弱まっている
・重労働や過度の運動により筋肉疲労がある
・締め付けがきつい下着を着けて血行が悪くなる
・体がかたい人は筋肉が緊張しやすいため血行が悪くなりやすい
・神経質だと痛みを感じやすい
・敷布団やマットレスが柔らかいと、腰が沈んでしまい負荷がかかりやすい
・冷えにより血行が悪くなりやすい
心あたりがあれば注意してみましょう。普段から意識することで腰痛の予防につながります。


・姿勢は大事

続いては腰痛になる要因の1つである姿勢についてお話させていただきます。
腰痛の治療において、普段どういった姿勢をとっているか、またどうしてその姿勢をとっているかを考えることで痛みを引き起こしている要因を推定でき、その要因に対してアプローチすることで痛みの改善につながる場合が多いです。
長時間立ったままの状態が続くと、重たい上半身を下半身が支えなくてはいけないため、腰に大きな負担がかかります。立ち仕事が多い接客業の人などは腰痛が職業病になりやすいとも言われています。仕事の合間や休憩時間にストレッチ、マッサージなどを行うことで腰痛予防につながります。また、クッション性のある靴を履くなど腰への負担を軽減する工夫も大切です。
腰痛予防のための立ち方としては、あごを引き、下腹に少し力を入れ、背筋を伸ばします。このとき肩の力は抜きましょう。親指の付け根に重心を置くとバランスをとりやすくなります。猫背や反り腰は腰に負担をかけやすいのでご注意ください。また、高いヒールの靴を履いていると腰が前に傾いてしまい、腰痛を悪化させてしまうおそれがあります。ヒールは3cm以内が望ましいです。
次に、長時間座っていることも思いのほか腰に負担をかけやすいです。特に猫背や前かがみの状態は、腰の筋肉・靭帯へかかるストレスを増やし、痛みが生じやすくなります。そのためデスクワークの人は自分にあった椅子を選び、正しい姿勢を維持することが大切です。同様に長時間のドライブも腰痛を生じやすくなります。1時間ごとに休憩をとり、車外で体をほぐしましょう。
腰痛予防のための座り方としては、椅子に深く腰かけ、あごを引き背筋を伸ばします。椅子の高さは低すぎても高すぎても良くありません。股関節と膝の高さが平行になるように保ち、足の裏全体がぴったり床につくよう高さを調節しましょう。
立つ場合でも座る場合でも、長時間同じ姿勢でいることは良くありません。適度に体を動かしたり、姿勢を変えて腰痛を予防しましょう。

・腰痛が起きてしまったら

日ごろから腰痛を防ごうと意識していても、腰痛に襲われてしまうこともあります。そんなときは痛みの少ない姿勢で安静にすることが大切です。どの腰痛も痛い方向に体を動かしてはいけません。
例)横向きに寝て膝をくの字に曲げる。座布団をお腹の下に入れてうつぶせに寝る。あおむけに寝て足の下に座布団を入れる。
ぎっくり腰など急性の腰痛の場合、氷水やアイスパックなどで冷やすことで痛みの緩和が期待できます。しかし長時間冷やし過ぎると回復が遅れてしまうおそれがあるためご注意ください。また、痛みが強くなるような場合は中止してください。
じわじわと痛みが出てくる慢性の腰痛の場合は、ホットパックや蒸しタオルで温めると良いでしょう。しかし、打撲による痛みや患部が熱を持っている場合は温めると逆効果になってしまいます。また、マッサージにより腰の筋肉をほぐし、血行を良くすることも慢性の腰痛には効果的です。ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、体を温めるのも良いでしょう。


まとめ

◇おわりに
今回は腰痛の種類や原因、予防法についてお話いたしました。腰痛の原因を理解し、腰に負担がかからないよう日ごろから気をつけて過ごすことが大切です。それでも腰痛が長引いたり悪化してしまうような場合は、無理せず専門家に相談しましょう。日常生活に支障が出る前に対応することが早期回復に重要です。簡単なお悩みでもかまいません。ぜひ当院にご相談ください。一緒に痛みに負けない体作りをしていきましょう。

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